蓄膿症(読み)チクノウショウ

デジタル大辞泉 「蓄膿症」の意味・読み・例文・類語

ちくのう‐しょう〔‐シヤウ〕【蓄×膿症】

慢性の副鼻腔炎のこと。炎症により鼻の奥や副鼻腔などにうみがたまる病気。悪臭のある鼻汁や鼻詰まり、頭痛・発熱などの症状がみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「蓄膿症」の意味・読み・例文・類語

ちくのう‐しょう‥シャウ【蓄膿症】

  1. 〘 名詞 〙 感冒インフルエンザ外傷虫歯などが誘因となり、病原菌が副鼻腔内に侵入して化膿性炎が起こり、膿汁が貯留した状態。頭が重い、頭痛、鼻づまり、記憶力減退などの症状を呈する。副鼻腔蓄膿症。副鼻腔炎。
    1. [初出の実例]「僕はふと彼女の鼻に蓄膿症(チクノウシャウ)のあることを感じ」(出典歯車(1927)〈芥川龍之介〉一)

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食の医学館 「蓄膿症」の解説

ちくのうしょう【蓄膿症】

《どんな病気か?》


 鼻腔(びくう)(鼻のあな)のまわりには、顔の骨に囲まれた副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる空洞(くうどう)があり、小さなあなで鼻腔とつながっています。鼻の粘膜(ねんまく)がウイルスなどに感染すると、このあながつまって膿(うみ)が副鼻腔にたまり、急性副鼻腔炎になります。
 急性副鼻腔炎が完治せず、慢性化したものが慢性副鼻腔炎、すなわち蓄膿症(ちくのうしょう)です。鼻づまり、鼻汁(びじゅう)、頭重感(ずじゅうかん)などがおもな症状で、せきやたんもでやすくなります。

《関連する食品》


〈菌への抵抗力を高めるビタミンA、C、乳酸菌〉
○栄養成分としての働きから
 蓄膿症には、ウイルスの侵入を防いだり、免疫力を高めて病原菌を殺す作用のある成分が有効です。
 粘膜を強化し、ウイルスに対する抵抗力をつけるビタミンAをとるには、レチノールを多く含むレバーウナギ、チーズや、体内でビタミンAにかわるカロテンを多く含むコマツナカボチャホウレンソウナノハナなどを積極的に食べるといいでしょう。
 ビタミンCにも、病原菌に対する免疫力を高める効果があります。イチゴグレープフルーツなどのくだものはビタミンCを豊富に含んでおり、ブロッコリーやナノハナには、Cとともにカロテンも豊富に含まれています。
 また、病原菌に対する抵抗力を高め、感染防御機能を高めるのが乳酸菌です。乳酸菌を多く含む食品は、ヨーグルトナチュラルチーズなどの発酵乳です。

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百科事典マイペディア 「蓄膿症」の意味・わかりやすい解説

蓄膿症【ちくのうしょう】

広義には,腔を有する臓器や漿膜腔に炎症が起こり,膿(うみ)が蓄積する状態をいうが,狭義には副鼻腔粘膜が炎症を起こし,膿汁が腔内にたまる病気をいう。後者は風邪による副鼻腔炎が慢性化する場合が多いが,その他,鼻炎アデノイド虫歯などによっても起こり,体質やアレルギーも関係するといわれる。副鼻腔を構成する4洞のうち上顎洞が最も冒されやすい。鼻汁が多く,時に悪臭があり,鼻づまり,頭痛,頭重,嗅覚(きゅうかく)障害,記憶力減退などが起こる。原因疾患の治療のほか,副鼻腔の洗浄・排膿,抗生物質や消炎酵素剤などの投与または腔内注入・噴霧を行う。根治手術は冒された副鼻腔粘膜の切除。
→関連項目嗅覚障害鼻茸

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蓄膿症」の意味・わかりやすい解説

蓄膿症
ちくのうしょう

体内の腔(くう)内に膿がたまった状態を蓄膿というが、副鼻腔炎、とくに上顎洞(じょうがくどう)炎で膿汁が副鼻腔や上顎洞に貯留している頻度が高いので、一般には副鼻腔炎を蓄膿症ということが多い。

[河村正三]

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改訂新版 世界大百科事典 「蓄膿症」の意味・わかりやすい解説

蓄膿症 (ちくのうしょう)

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世界大百科事典(旧版)内の蓄膿症の言及

【鼻】より

…副鼻腔の粘膜は,鼻腔粘膜と連続して呼吸上皮でおおわれている。副鼻腔に慢性の炎症が起こり,粘膜がはれて分泌物がたまった場合が慢性副鼻腔炎,いわゆる蓄膿症である。副鼻腔はその主として存在する部位の名称をとって,前頭洞,上顎洞,篩骨蜂巣(ほうそう)(前部と後部),蝶形(ちようけい)骨洞とに分類する。…

【副鼻腔】より

…立っているときは,上顎洞や蝶形洞の自然口の位置はかなり上にあるため,繊毛の作用が衰えると分泌物が排出されなくなり,炎症が治りにくくなる。副鼻腔の炎症は副鼻腔炎と呼ばれ,うみが腔内にたまりやすいことから蓄膿症とも呼ばれる。副鼻腔の役割については,頭蓋骨の軽量化,共鳴腔,粘液の供給,外傷のショック緩衝装置など,さまざまな仮説が提出されているが,まだ確立されていない。…

【副鼻腔炎】より

…風邪その他のウイルス性疾患や虫歯,外傷などに引き続いておこる急性のものと,それらが慢性化したものとがある。一般には副鼻腔の化膿性感染をさし,結果として,副鼻腔と鼻腔の交通路(自然口)がほとんど閉鎖し,副鼻腔内に分泌物が貯留した状態となるため〈蓄膿症〉と呼ばれるが,最近ではより広い意味で副鼻腔炎と呼ばれることが多い。慢性副鼻腔炎は第2次大戦直後まで,きわめて多い病気で,国民の20%以上が罹患していたが,学校給食の開始をはじめ,栄養状態の改善により急速に減少した。…

※「蓄膿症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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