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体内の腔(くう)内に膿がたまった状態を蓄膿というが、副鼻腔炎、とくに上顎洞(じょうがくどう)炎で膿汁が副鼻腔や上顎洞に貯留している頻度が高いので、一般には副鼻腔炎を蓄膿症ということが多い。
[河村正三]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…副鼻腔の粘膜は,鼻腔粘膜と連続して呼吸上皮でおおわれている。副鼻腔に慢性の炎症が起こり,粘膜がはれて分泌物がたまった場合が慢性副鼻腔炎,いわゆる蓄膿症である。副鼻腔はその主として存在する部位の名称をとって,前頭洞,上顎洞,篩骨蜂巣(ほうそう)(前部と後部),蝶形(ちようけい)骨洞とに分類する。…
…立っているときは,上顎洞や蝶形洞の自然口の位置はかなり上にあるため,繊毛の作用が衰えると分泌物が排出されなくなり,炎症が治りにくくなる。副鼻腔の炎症は副鼻腔炎と呼ばれ,うみが腔内にたまりやすいことから蓄膿症とも呼ばれる。副鼻腔の役割については,頭蓋骨の軽量化,共鳴腔,粘液の供給,外傷のショック緩衝装置など,さまざまな仮説が提出されているが,まだ確立されていない。…
…風邪その他のウイルス性疾患や虫歯,外傷などに引き続いておこる急性のものと,それらが慢性化したものとがある。一般には副鼻腔の化膿性感染をさし,結果として,副鼻腔と鼻腔の交通路(自然口)がほとんど閉鎖し,副鼻腔内に分泌物が貯留した状態となるため〈蓄膿症〉と呼ばれるが,最近ではより広い意味で副鼻腔炎と呼ばれることが多い。慢性副鼻腔炎は第2次大戦直後まで,きわめて多い病気で,国民の20%以上が罹患していたが,学校給食の開始をはじめ,栄養状態の改善により急速に減少した。…
※「蓄膿症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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